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上下水道工事の地盤調査|兵庫県の土質別対応と工期短縮のコツ

上下水道工事の受注が決まったものの、地盤調査をどこまで実施すべきか、また調査結果をどう施工計画に落とし込むかで悩まれる担当者の方は少なくありません。特に兵庫県内は六甲山系の風化花崗岩帯から瀬戸内側の軟弱粘土層まで地質が多様で、一律のノウハウでは対応しきれない現実があります。この記事では、地盤調査の実施判断から報告書の読み解き、施工計画への反映、そして工期とコストへの影響までを、現場を見てきた経験からまとめました。

上下水道工事における地盤調査の重要性と役割

地盤調査は設計段階で欠かせないプロセスであり、土質・地下水位・支持力の把握が施工方法と工期を大きく左右します。兵庫県内は地域による地質差が大きく、事前調査の質が施工の成否を分けます。

地盤調査が施工方法に直結する理由

上下水道工事における掘削作業では、土質の強度によって支保工の仕様や止水工の必要性が根本から変わります。たとえば同じ深さ3mの管路布設工事でも、N値20以上の良好な地盤であれば簡易土留めで済むケースがあります。一方、N値5以下の軟弱地盤や地下水位が浅い場所では、鋼矢板打設と釜場排水、場合によっては地盤改良までを組み合わせる必要が出てきます。

特に地下水位は施工工法を大きく左右する要素です。地下水位が管底より高い位置にある場合、排水工法(釜場・ウェルポイント・ディープウェル)の選定、あるいは薬液注入による止水を検討することになります。現場を見てきた経験から言えば、事前に地下水位を把握せずに掘削を開始し、想定外の湧水で工事が停滞するケースは今でも珍しくありません。地盤調査は「掘ってみないとわからない」を「掘る前に想定できる」に変える工程だといえます。

兵庫県の地質特性と調査の必要性

兵庫県は南北に長く、地質が地域によって大きく異なります。瀬戸内側の沿岸部から大阪湾岸にかけては沖積粘土層が厚く堆積しており、軟弱地盤への対応が主課題となります。神戸市街地から阪神地域では埋立地や旧河川跡の地盤に注意が必要です。一方、六甲山系や北播磨、但馬地方の丘陵地では花崗岩の風化した「マサ土」が広く分布し、乾燥時と湿潤時で強度が大きく変わる特性があります。播磨南部では砂質土層の中で液状化判定が必要になる地域もあります。

調査対象外と判断される工事との線引きも重要です。既存図面が整備されている既設管の入替工事や、深さ1m以下の浅い補修工事であれば、簡易な確認で済ませる判断もあり得ます。ただし新規布設や口径拡大、深さ2m以上の工事では、原則として何らかの調査を実施する方が結果的に安全です。工事内容や施工事例については業務内容・施工事例はこちらでご確認いただけます。お見積もりや調査計画のご相談はお問い合わせはこちらより承っております。

上下水道工事の主な地盤調査方法と実施手順

地盤調査にはボーリング調査、標準貫入試験、スウェーデン式サウンディングなど複数の手法があり、工事規模と予算に応じて組み合わせます。兵庫県では梅雨期・台風期を避けた調査時期の設定も重要です。

ボーリング調査と標準貫入試験の組み合わせ

上下水道工事で最も一般的な調査パターンは、ボーリング調査と標準貫入試験(SPT)の併用です。φ66〜86mm程度の孔を掘削しながら1m間隔で標準貫入試験を実施し、N値の測定とサンプラーによる土質のコア採取を同時に行います。あわせて調査孔内の地下水位を測定することで、施工計画に必要な三大情報(土質・強度・水位)が一度に得られます。

兵庫県内でのボーリング調査の実施期間は、1本あたり深度10m程度であれば1〜2日、報告書作成を含めると全体で2〜3週間程度が目安です。天候の影響として、梅雨期(6〜7月)や台風期(8〜9月)は現場作業が中断されやすく、また調査後の地下水位が本来の水位と異なる値を示すこともあります。可能であれば、比較的天候が安定する秋から初冬にかけての実施が望ましいといえます。

調査点数は工事延長にもよりますが、目安として管路100m〜200mに1本、圧送ポンプ場などの構造物工事では敷地の四隅と中央に1本ずつが一般的な考え方です。

小規模工事のスウェーデン式サウンディング活用

比較的小規模な工事や、簡易な地盤確認が必要な場面ではスウェーデン式サウンディング試験(SWS試験、現在はスクリューウェイト貫入試験と呼称)が活用されます。ボーリング調査に比べて費用を大幅に抑えられ、1日で複数点の調査が可能なため、コスト面での利点は大きいです。

SWS試験は住宅地盤の調査でよく使われる手法ですが、上下水道工事でも小口径・浅深度の場合には十分な判断材料となります。ただし採取できるのは貫入抵抗値(換算N値)のみで、コアサンプルが取れないため土質の正確な特定は困難です。そのため、SWS試験の結果を一次判定として使い、軟弱層が疑われる場合や地下水位の把握が必要な場合には、ボーリング調査を追加する二段階アプローチが実務的です。

調査方法 費用目安 得られる情報 適した工事
ボーリング+SPT 1本20〜35万円 N値・土質・地下水位 中〜大規模工事
SWS試験 1点3〜6万円 換算N値のみ 小規模・浅深度
土壌化学試験 1試料5〜10万円 腐食性・PH等 埋設管の材質判定

地盤調査結果の解釈と施工計画への反映方法

調査報告書に記載されたN値・c値・φ角などの数値を読み解き、支保工仕様・矢板の必要性・地下水対策を具体化する工程が施工計画立案の核心です。数値と現場のリンクが重要になります。

調査報告書に記載される数値の読み方

上下水道工事の施工計画で参照する主な数値は、N値・粘着力(c値)・内部摩擦角(φ)・地下水位の4項目です。N値については、一般的にN値30以上で良好地盤、N値10以下で軟弱地盤という目安があります。管路布設の掘削深度である2〜4m程度の範囲でN値5未満の層が出てくる場合は、鋼矢板打設や地盤改良の検討が必要になります。

粘着力(c値)と内部摩擦角(φ)は、掘削面の安定計算に用いられます。粘性土主体の地盤ではc値が支配的、砂質土主体ではφ角が支配的というのが一般的な理解です。専門的な観点から重要なのは、これらの値を法勾配計算や土留め工の必要性判定に反映させることです。粘性土でc値が20kN/m²未満、砂質土でφ角が25度未満といったケースでは、自立掘削は困難で確実な土留め工が求められます。

地下水位のデータは、排水工法か止水工法かを決める判断材料です。掘削底面より地下水位が高い場合は排水が必要となり、透水係数の大小で釜場工法・ウェルポイント・ディープウェルを使い分けます。

地盤特性から施工計画を立案する流れ

実務での流れは、柱状図の読み込み→土質断面図の作成→支保工等級の決定→工期見積もり→安全対策の具体化、という順序が基本です。まず柱状図から掘削断面に含まれる土質層と地下水位を把握し、次に該当区間で必要な土留め工と排水工を選定します。その上で、それぞれの施工手間を積み上げて工期を見積もり、最後に周辺構造物への影響評価と安全対策を組み立てます。

兵庫県内での過去事例と比較検証することも有効です。同じような地質条件で実施した過去の工事記録が社内に蓄積されていれば、支保工仕様や工期の妥当性を判断しやすくなります。設計者と施工者間の協議では、調査データと施工上のリスクを共通言語として扱うことで、後々の変更協議もスムーズになります。関連工事の事例は業務内容・施工事例はこちらでご紹介しています。

兵庫県の地形・気候特性による地盤調査上の注意点

兵庫県は六甲山系の傾斜地、瀬戸内側の軟弱粘土、播磨の砂質地など、地域差が非常に大きい地質環境にあります。降雨や季節による地下水位の変動、液状化判定の要否など、地域特性を踏まえた調査設計が不可欠です。

六甲山系・北部の丘陵地での地盤調査の工夫

六甲山系や北播磨・但馬地方の丘陵地では、風化した花崗岩である「マサ土」が広く分布しています。マサ土は乾燥時には比較的安定していますが、含水比が上がると急激に強度低下する特性があり、雨後の掘削では法面崩壊のリスクが高まります。斜面地では地表面の勾配だけでなく、地層境界の傾斜も安定性評価に加える必要があります。

雨季の地下水位変動が大きい地点では、調査タイミングの選定が結果を左右します。同一地点でも渇水期と豊水期で地下水位が1〜2m変動することがあり、施工予定時期の水位を想定した調査計画が求められます。可能であれば渇水期と豊水期の両方で水位測定を行うか、あるいは自動水位計を一定期間設置して変動を記録する方法もあります。

これまで対応したお客様の中で、山側の斜面地工事で、調査時は乾燥期でN値20前後を示していたマサ土層が、施工時の雨後に軟化して支保工の追加が必要になったケースもありました。地質特性を踏まえた季節補正が、こうしたリスクへの備えになります。

瀬戸内側低地の軟弱地盤への対応

瀬戸内側の低地部では、沖積粘土層の深さ把握が支保工決定の鍵となります。層厚が5m以上に及ぶ厚い粘土層では、掘削時のヒービング(掘削底面の盛り上がり現象)への対策として、根入れ長さの確保や地盤改良の併用が必要になります。また地下水位が地表から1〜2mと浅い地点が多く、排水計画は調査段階から具体化することが望ましいです。

液状化判定については、砂質土主体の地盤でN値が低く、地下水位が浅い地域で必要になります。播磨南部や大阪湾岸の埋立地・旧河川跡などが該当エリアの目安です。液状化判定にはFL値・PL値の算定が必要で、通常のボーリング調査に加えて粒度試験・細粒分含有率試験などが追加になります。判定対象地域かどうかは、自治体のハザードマップや地盤情報データベースで事前に確認できます。

詳細な地質情報や過去の施工実績に基づくご相談はお問い合わせはこちらよりお寄せください。

地盤調査による工期・コスト削減のポイント

地盤調査費用は工事総額の概ね1〜3%程度が目安ですが、この投資が施工方法の最適化と工期短縮、そして予期せぬトラブル回避につながります。見積段階での調査費計上の判断と受注後の意思決定が実務のポイントです。

調査不十分による追加費用・工期遅延の実例

現場で実際によく見るパターンとして、事前調査を省略または簡略化した結果、施工開始後に予想外の軟弱地層や湧水に遭遇し、支保工の仕様変更や工法変更を余儀なくされるケースがあります。当初想定していた木製土留めが鋼矢板に変更されれば、材料費と施工手間が数倍に膨らみます。工期も1〜2週間の延長では収まらないこともあり、他工程との調整による波及コストまで含めれば損失は大きくなります。

調査費用が20〜50万円の投資で回避できたはずのトラブルが、結果として数百万円規模の追加費用と工期遅延を招く事例は今も見受けられます。契約上「予定価格内の変更」で処理されると、その差額は施工者側の負担になりやすく、赤字化のリスクにつながります。

調査段階での「想定外」と契約上の変更扱いの判断基準は、当初設計条件との乖離の程度で決まります。想定土質と大きく異なる地層が出現した場合や、想定地下水位を大きく超える湧水があった場合は、設計変更の対象として協議する余地があります。

見積段階での調査費用と工事受注後の進め方

調査費を施工費に上乗せして見積もるか、受注後に別途協議するかの判断は、案件の性格によって使い分けます。既存図面がある入替工事や、地質情報が豊富な地域では、見積段階で調査費を計上せず必要最小限の確認で進める判断もあります。一方、新規布設や地質情報が乏しい地域では、見積段階から調査費を明示的に計上する方が、後々の協議もスムーズです。

元請けとの負担割合交渉では、調査結果によって施工方法が大きく変わる可能性を事前に共有しておくことが有効です。「調査次第で支保工仕様の変更協議あり」といった条件を見積書に明記することで、受注後の変更交渉がしやすくなります。

工事規模 工事費目安 推奨調査費 調査比率
小規模(〜1000万円) 500〜1000万円 10〜25万円 概ね2〜3%
中規模(1000〜5000万円) 1000〜5000万円 30〜80万円 概ね1.5〜2%
大規模(5000万円〜) 5000万円以上 80〜200万円 概ね1〜1.5%

地盤調査を含む工事全体のご相談・お見積もりはお問い合わせはこちらよりご連絡ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 小規模な補修工事でも地盤調査は必要ですか

深さ2m未満の浅い工事でも、軟弱地盤の可能性がある地域や初めての工事地では最小限の調査を推奨します。既存図面や近隣工事のデータがあれば、それを参考にSWS試験1〜2点程度で確認する方法もあります。

Q. 地盤調査に必要な期間はどのくらいですか

ボーリング調査は現場作業1〜2週間、報告書作成2〜3週間が目安です。兵庫県内では梅雨期・台風期は遅延しやすくなります。工期逼迫時は速報値を先行で入手する方法もあります。

Q. 調査結果で施工方法が変わった場合の費用扱いは

当初設計条件との乖離が大きい場合は設計変更として協議する余地があります。契約時に「調査結果により変更協議あり」と明記しておくと後々の交渉がスムーズになります。

この記事を書いた理由

著者 – 株式会社吉川建設

これまでお客様からよくいただくご相談として、「調査費を抑えたい」「工期が決まっているから調査は後回しに」といった判断が、結果として大きなコスト増や工期遅延につながるケースを目にしてきました。地盤調査は工事の入り口であり、ここでの判断が全体の成否を左右する部分です。

兵庫県内でも地域ごとに地質特性が大きく異なるため、この記事では地域の実務に根ざした情報をお伝えしました。地盤調査で悩まれている方の判断材料となれば幸いです。

会社概要・アクセスはこちらからご確認ください。

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